らしさが伝わるAboutページの作り方

らしさが伝わるAboutページの作り方

WebサイトにはAboutページはあってあたりまえのものです。トップページは依頼側も制作側も力を入れて取り組む傾向にあると思いますが同様に力を入れた方が良いと思うのがAboutページです。とはいえ、いざつくってみると見る人にとって魅力のない内容になることが多いページでもあります。少しでも興味を持ってもらうためのAboutページの作り方をまとめてみました。

対象

こんな方向けの内容にしています。

  • Aboutページの重要性がわからない。
  • 文章を書くことが苦手。
  • 過去につくったWebサイトをあまり見てもらえなかった。

ページの文脈をつくる

Aboutページはタイトルが「〜ついて」や「会社案内」などになっていることが多いページのことです。以下のような項目の中で特に見せたいことや見せるべきことが何かを考えてみると同業他社との違いへの気づきになり、それが見る人への興味へつなげるきっかけになります。

経緯

会社やお店にはこれまでの歴史があるはずです。新しく事業を始めた方であればその方の原体験や始めるまでにやってきたことがこれに当たります。興味深い創業者エピソードがあれば面白く見てもらえるかもしれません。

地域性

土地に根付いた事業を続けてきた、もしくはその土地に魅力を感じて事業を始めた方がいるはずです。その場所ならではの事業内容であれば一層魅力を伝えることができます。

人柄

経緯や地域性を語ると同時に事業に関わる人柄を伝えることができれば親近感や安心感を伝えられます。

冒頭の文章をつくる

Aboutページの冒頭には概要にあたる文章を入れることが多いです。これまで説明した項目の中で「地域性」を踏まえた文章が過去に制作した和菓子屋さんのWebサイトにありましたので紹介します。

芝山(かつて香西に存在した小島)は月見の名所としてもよく知られ、多くの風流文化人に愛せられ数々の詩歌に歌われています。室町時代、政治並に軍政的に勝れた香西のお殿様は幕府の実力者、細川氏の重臣であった関係で、著名な泉房宮井殿井の清泉をくんで月雪花にちなんだ茶会を催され、特に釣月殿の茶室には都にも珍しいと驚かれた話が残されて居ります。その後、江戸時代の著名な儒者、高松藩学講堂館総裁 後藤芝山先生は青少年時代に香西「芝山」山麓に住居し常時しばし芝山に登って自然の学問所としたと伝えられています。「芝山」の名は、このような文化や人々に敬慕してつけられています。

店名の由来を通してお店の姿勢を伝えることを目指してつくった文章です。

岩手県の約6割を占める北上山系は、なだらかな地形に楓・松・楢などの山林が広がり、野生動物も多く生息する自然豊かな土地。
なかほら牧場はその北上山系の標高700~850mの窪地に位置し、平らな牧草地ではなく山の植生を活用する「山地(やまち)酪農」という手法を用いて“牛なり・山なり・自然なり”の放牧酪農を行っています。

こちらは僕が制作したものではありませんが、なかほら牧場さんというところのAboutページ冒頭の文章です。概要がシンプルにまとまっている好例だと思い引用しました。こちらのサイトではこの文章の上に写真をレイアウトしてありますが文章だけでも風景が感じられます。

このように事実に触れることから文章を書き始めると奥行きが出ますし後につづける内容に説得力を持たせられるのではないかと思います。冒頭文章がつくれると文章内で触れたことを深掘りしてページを肉付けしていくとAboutページが最初に決めた文脈でおのずと埋まっていくことになります。あとはアクセスや会社概要(店舗概要)を入れて仕上げるとページの出来上がりです。

Aboutページを充実させるメリット

回遊性の向上

Webサイトに訪問する方は高い確率で一度Aboutページを見る傾向があり、魅力のあるAboutページであれば他ページコンテンツを見る動機につながります。ブログのような記事ページは離脱率が高くても読む側の目的を達成したうえでの離脱も考えられるのでさほど意識する必要はありませんが、アクセス解析をしてみてこのページでの離脱率が高い場合はページ改修の余地があると言えます。

BtoBに役立つ

業務内容をAboutページに掲載した場合はモノの購入やサービスの利用を検討している人にその事業概要を伝えることができます。一方で協業できそうなところを探している事業者にとっても有益な情報にもなり得ます。また、事業目的がページ内に掲載されてあれば仕事への姿勢や思いも感じてもらえるはずです。

採用サイトの基礎になる

業務内容だけでなく仕事の様子を深掘りして掲載した場合はその業界での就職希望者にとって有益な情報になります。その仕事のやりがいやすべてではないものの仕事の大変さを伝えることは採用側と就職希望者との間の感覚的ギャップを埋めることにつながり、普段からAboutページをメンテナンスしておくといざ採用サイトを制作しようとしたときにも役立つはずです。

ビジョン表出のきっかけになる

「BtoBに役立つ」で触れた「事業目的」を改めて考えてみることは、間接的なメリットを生む場合があります。事実ベースで行われることが多いWebサイト制作の過程で、これをわかりやすく伝えようとすることは、結果的に社内での共通認識や古い言い方であれば「士気」を生むきっかけになります。これを「ビジョン」と呼ぶこともあり、採用サイトの基礎になる一番大切な基準をつくることにもつながります。

ビジョンの浸透具合で関係者の認識がどのように変わるのかを、schooの授業でわかりやすい解説があったので引用します。

安土桃山時代、「大阪城の石垣の話」

「何をつくっているんですか?」に対しての回答

Aグループの人:「石を積んでいるんだ。」

Bグループの人:「日本一の城をつくっているんだ。」

Cグループの人:「日本の平和の象徴をつくっているんだ。」

すべてはビジョンからはじまる(ゲスト:中川政七商店 中川 政七)

さいごに(全体の構成例)

Aboutページは「形式的に入れておくもの」と考えられがちですが、意欲的にページつくりに取り組んでみるとWebサイトや自社にとって様々なメリットを生むページです。もし、Webサイトのリニューアルや改修をお考えの場合は、まず、Aboutページの充実化をおすすめします。さいごに、ページの構成例をいくつか紹介して記事の締めとします。

地域性のある事業者地域性のある事業者

歴史のあるお店A歴史のあるお店A

歴史のあるお店B歴史のあるお店B

独自性のある事業を行う会社独自性のある事業を行う会社

顔の見える会社顔の見える会社

実績の多い会社実績の多い会社